RESEARCH研究内容

『科学的根拠のあるトレーニングをすべての人へ発信する』

以下のテーマに興味と熱意のある大学院生(後期課程、前期課程)を募集します。詳しくは問い合わせてください。

ストレングス&コンディションング分野に関する研究

 1)筋力トレーニングに関する研究

 身体トレーニングは競技力の向上、損傷予防、健康増進に非常に有益です。しかし、トレーニング方法の多様化により、科学的根拠のない方法が広まることも少なくありません。本研究室では、筋力トレーニング中の動きの変化に着目し、筋力トレーニング中の速度低下率(Velocity Loss)が筋力・パワー、筋の形態、血管機能に与える効果を検証しています。この研究により、科学的に裏付けられたトレーニング方法の開発を目指しています。
「具体的な研究内容」
◯速度低下率(Velocity Loss)が、一過性の代謝ストレスおよびトレーニング効果に与える影響
◯パワー発揮に着目した漸減負荷トレーニングの開発と検証
◯エキセントリック局面がコンセントリック局面のパフォーマンスに与える影響 
◯ジャンプパフォーマンスの継続的な評価から、筋力トレーニングによるパフォーマンス転移を考える
◯レジスタンスプライミングとして最適なプログラムの探索

 

 2)コンカレントトレーニング

 コンカレントトレーニングとは、筋力トレーニングと有酸素トレーニングを組み合わせて行うものです。近年のレビュー(Wilson et al. JSCR. 2013)では、コンカレントトレーニングが筋肥大効果を阻害する可能性が報告されており、我々も同様の報告を行っています(Kikuchi et al. JSCR. 2015)。一方で、持久力の向上には有益な効果が報告されています。現在は、高強度インターバルトレーニング(HIIT)と筋力トレーニングの組み合わせに特に着目して研究を進めています。
「具体的な研究内容」
◯筋力トレーニングのボリュームが、持久性パフォーマンスに与える影響
◯上肢の筋トレ後の下肢のインターバルトレーニング中の酸素摂取量

スポーツ遺伝学研究

スポーツ遺伝子研究の国際的なコンソーシアムであるAthlome プロジェクト(Pitsiladis et al., Physiolosical Genomics.2016)に参加し、国際的な共同研究を進めている。これまで、特に骨格筋の構造に関わるACTN3遺伝子の多型と競技パフォーマンス及び発揮パワーとの関連性を報告している(Kikuchi et al. 2012,2013,2014,2015,2016)。また、レスリング選手(Kikuchi et al 2016)、スポーツクライミング選手(Saito et al. 2021, 2022)、ウェイトリフティング選手(Homma et al. 2020, Kikuchi et al. 2021)など特定の競技選手における遺伝子多型についても報告している。候補遺伝子アプローチだけではなく、オリンピック選手を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いた網羅的解析も進めている。

「具体的な研究内容」
◯トップアスリートのゲノムワイド関連解析(レスリング、ウェイトリフティング、パワーリフティングなど100名前後)
◯エキセントリック運動後の筋損傷に関連する遺伝子多型の検討(n=95, GWAS)
◯中高齢者の体力に関わる遺伝要因について(約2000名の体力データとDNAサンプル)
◯アスリートの遺伝特性について(約2000名程度)
◯怪我に関する遺伝要因について(ACL,筋損傷など)
◯サッカー選手の遺伝要因と怪我やGPSデータについて

日体大卒業生研究 NITTAI Healthy Longevity Study

日本体育大学は、日本でもトップレベルの競技実績がある。体育大学を卒業した元アスリートのウェルビーイングを研究するプロジェクトを進めている。卒業生研究から「ハイパフォーマンスを追求する」意義を明らかにする。
「具体的な研究内容」
◯エリートアスリートの遺伝要因は引退後のウェルビーイングに影響するか?
◯競技実績はその後の幸福度および健康指標に関連するか?

トレーニング指導者育成のためのカリキュラム作成

特別な教育を受けたトレーニング指導者の需要は、今後ますます高まることが予想される。しかしながら、日本での教育プログラムはまだ整っていないのが現状である。本研究室では、「トレーニング実践演習」という講義と実技からなる授業を展開している。今後、トレーニング指導者の育成を目的とした学内外のインターンシップの実施などを行うことで、本学独自のトレーニング指導者育成のためのカリキュラム作成を進める。

工学分野との連携(東京理科大学橋本研究室との共同研究)

スポーツ科学分野と工学分野との連携を図り、現在は筋力トレーニングマシンの開発やカヌーエルゴメーターの開発を行なっている。また、非接触計測による筋力トレーニングによる生理学的な反応を予測する取り組みを行なっている。